【佼成4月号】
(朗読 MP3)
令和四年四月度 ご法話を学んで
昨今の世界情勢に加え、
東北地域での大きな地震によって
お亡くなりになられた方や
被害にあわれた方々の
一日も早い復興を願っています。
今月は、
『各自の感謝のしるし―持戒』
から新年度を迎える心構えを
学ばせて頂きたいと存じます。
「おかげさま」への感謝が基本・・・
私たちはありとあらゆるものごとの
「おかげさま」によって生かされている。
と教えて頂いて参りました。
しかし、自身に目を向けてみるとその
「おかげさま」に対して
感謝の心をもっているかと
問われると自信のない返事を
することもあります。
その中でも、六波羅蜜の実践徳目の
一つ「持戒」によって積極的に
感謝することができるよ。
とお示し頂いたものと存じます。
キーワードは
「良い習慣を身につける」
ことから感謝のしるしとして、
周囲に安らぎを与える行動と
なると思います。
因みに、在家仏教徒の戒めに
「五戒(不殺生、不偸盗、
不邪淫、不妄語、不飲酒)」
は窮屈な禁止事項のように
捉えられがちな生き方というより、
みんなが和やかに楽しくすごせるような
習慣を身につけることは、
必然的に、まわりに迷惑をかけたり、
人を傷つけたりしないような
生き方となり、あらゆる命を尊び、
生かし、みんなが楽しく
生きることになるのでしょう。
めいめいが「自分の持戒」を・・・
オーダーメイドの「良い習慣」について、
開祖さまの習慣として時間の殺生を
しないことや、心の余裕の無さを確認する
一呼吸を入れることによって怒りに
心が支配されることが少なくなる。
などの、自身に応じた良い習慣にも
視点を合わせてみたいものです。
私において習慣化できているものとして、
ご供養を外せません。
若い時から出来ていたわけではなく、
多くの方々や出来事の言わば
「おかげさま」で形になったようです。
ある批評家の言葉に、
「習慣とは、無意識で無自覚わざわざ
見つけ出そうとしたり、
信じようとしたりしなくていいもの」
というものがありました。
日々に、呼吸をするように、朝目覚めて
洗面をするように、人と出会えば挨拶を
交わすように、ゴミが落ちていれば
何事もなく拾って捨てるように、
など私たちの生活に他を喜ばす、
または自身の心を満たす良い習慣をもつ
人生を歩みたいものです。
「雪根開き」について、雪国出身の私も
現象は目の当たりにしていましたが
名称は存じ上げませんでした。
春の息吹を感じる現象は、
俳句の春の季語だそうです。
ご法話の最後にある、自然の摂理に
沿った処し方を身につけている
私たちである、しるしとして和やかな
春の訪れを心待ちにしている情景と
ともに、四季を愛でる日本人の
文化や伝統を感じます。
余談になりますが、
春を迎えることを掘り下げて見た時に、
日蓮聖人のお手紙の中に、
心が温かく感じる内容が
ありましたのでご紹介します。
《「法華経」を信ずる人は、
冬のようなものです。
冬は必ず春となります。
冬が秋に逆戻りしたことを、
昔からいまだに聞いたことも、
見たこともありません。
(妙一尼御前御消息 抜粋)》
これは、妙一尼という武士の
妻に対する手紙の一文ですが、
領地没収され夫を亡くし病気の息子と
娘を抱えつつ零落した身でありながら
師の日蓮聖人を案じ続ける尼の厚情に、
感謝と夫に先立たれた尼の
悲しみを思いやり、励ましの言葉
としてお送りになったわけです。
今一度、周りを見渡すとロシアの
ウクライナ侵攻をはじめ、
未だ終息をみないコロナ感染症や、
続いている東北の地震被害、
身近に目を向けても様々な悩みや
悲しみに打ち震えている人々に、
仏さまの慈悲に包まれている
安心の日々に一日でも早く
お入り頂きたいという願いを
「冬は必ず春になる」
という前向きで希望に溢れた新年度を
皆さんと共に一歩を踏み出して
参りたいものです。合 掌
立正佼成会 奈良教会長 中村浩士拝
まほろば 奈良教会長コラム
令和4年4月度 ご法話を学んで
2022.4.1