★佼成1月号「会長法話」をご拝読ください。
【佼成1月号】
(朗読 MP3)
令和三年一月度 ご法話を学んで
新年あけましておめでとうございます。
皆さまに旧年中は
大変お世話になりましたことと共に、
元気に新たな年を迎えさせて頂きましたこと
重ねて感謝申し上げます。
昨年次はコロナ感染対策として誰もが
活動の自粛を余儀なくされた一年でした。
しかしながら、多くの会員の
皆さまから耳にするのは
「コロナのおかげさま」
という不都合な状況を受け入れる
心になっているご様子に、
み仏様、開祖さま、会長先生のお弟子であり、
僧伽(サンガ)としてのご修行の
賜物だと思わざるをえませんでした。
未だコロナの終息は見えませんが、
この教えによってコロナ禍であっても
感謝を忘れない日々が過ごせること、
コロナ禍による不安や苦悩を乗り越えて
いける実感を多くの方と分かち合い、
明るい令和三年次の精進を
お誓いしたいものです。
さて、佼成一月号会長先生ご法話
『常不軽菩薩のように』に学び、
私が受け止めさせていただきましたところに
ついてご案内いたしたいと存じます。
言わずと知れた常不軽菩薩とは、
妙法蓮華経の二十番に
お出ましされる菩薩さまです。
さらに、その常不軽菩薩の特徴は、
出会う人の誰に対しても
合掌・礼拝し讃嘆した方と説かれています。
それを踏まえて、会長先生の
ご法話をかみしめたいと存じます。
冒頭、『本年もまた「善いこと」
を繰り返し行って、お互いさま美しく
豊かな一年にしていきたいものです。』
とおっしゃっているのですが、
【また】という表現にドキッとしました。
私たちの多くは、先ほどのように
「コロナのおかげさま」
と言えることの尊さを振り返りましたが、
「美しく豊かな一年」
とまで昇華した受け止め方で
あっただろうかと自問し、
「善いこと」
を繰り返していたとしたらそのように
受け止めることができていたのでは
という疑問にもなりました。
ではその「善いこと」とは何なのでしょうか?
日蓮聖人は
「人の道―行動や態度を教えること」
といっておられることを引いて、
『私たちにとって生き方の基本となる、
日常生活における「善いこと」が示されている』
として深めて参りたいと存じます。
この常不軽菩薩は
どんなにひどい仕打ちを受けても、
人を見下げたり、怒りや憎しみを
抱いたりしないで耐え忍び、
罵声や暴力から身を遠ざけながら
礼拝行に徹した姿勢は、
仏教を信仰する者のお手本と
いえるとまで仰ってくださいました。
その終わりに、
「但礼拝を行ず」
の一言にこめられた精神をそのあとに続く
【かみしめ・味わい・血肉として・行動する】
までを一連の実践として
取り組ませていただきたいものです。
よく、身につくまでの実践といいますが、
まさに言葉通りの実践を決定する
ところだともいえるのではないでしょうか。
後項の『「常不軽菩薩」と「雨ニモマケズ」』では、
太陽の恵み、水や空気などあることが
当たり前のように思っているのは
私だけではないと思いますが、
当たり前のことになると関心ももてずに、
感謝のこころなどはさらさらとなりがちですが、
私を取り囲むすべてのものに
感謝することは大切な礼拝行であり、
具体的には、天気に文句を言わない、
水を大切に使い、ものを無駄にしないことも
合掌の一つの形とお示しくださいました。
青年の日にも掲げられていましたが、
全地球規模で取り組んでいくべき目標ともいえる
《SDGs※1》誰もが関わりを持っている
課題としてとりくむことは
すべてのいのちに対する礼拝の姿勢
ともいえるのではないしょうか。
さらに、人に不平不満をや愚痴をこぼさない、
悪口や怒りをぶつけないことも、
相手の仏性を信じて敬う、
人間としてのつとめともいえ、
まとめると、身近な行動や態度や言葉の
一つひとつが合掌・礼拝を身で
あらわす行と頂戴しました。
それをふまえて、会長先生ご自身が
「常不軽菩薩品」と重ねる気持ちで
お読みになって感銘を受けられた
全文をご紹介しておきます。
この全文に、法華経に縁のない人でも
菩薩としての行動や態度が
よくわかるわけですから、
ご縁の皆さんと、会長先生と
同じくこの詩を拝読させていただき、
年明けからの心持の指針として
かみしめて参りたいと思います。
《雨ニモマケズ》宮沢賢治
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ䕃ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
結びにあたり、令和二年という年は
世界的にも日々のあり様が根底から覆され、
新しい価値観を受け入れざるを
得ない状況に誰もがおかれました。
結果、自身を振り返ることで
感謝の人生を歩んでいたことに
たくさん気付かかせていただきました。
おそらく、この状況は引き続きに
なることでしょうが、この状況下にあっても、
会員のみなさま、はじめ関係各所の方々と共に、
即是道場の精神をかみしめ、
常精進の過ごし方を目指して
まいりたいと存じます。
先の宮沢賢治の詩の最後にあるように、
どんな自分になりたいのかを強く持ちつつ、
布教伝道、菩薩行実践のワ
タシニナリタイと祈念しております。
重ねて、皆さまに置かれましては、
良い年をお迎えくださいますよう祈念しつつ、
あらためて皆さま今年一年
どうぞよろしくお願い申し上げます。
合掌
立正佼成会
奈良教会長 中村 浩士
※1SDGsとは?
持続可能な開発目標(SDGs)とは,
2001年に策定された
ミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,
2015年9月の国連サミットで採択された
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」
にて記載された2030年までに持続可能で
よりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され,
地球上の「誰一人取り残さない
(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず,
先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)
なものであり,日本としても積極的に
取り組んでいます。外務省HPより抜粋
まほろば 奈良教会長コラム
令和三年一月度 ご法話を学んで
2021.1.1