まほろば 奈良教会長コラム

平成26年8月度実践目標

2014.7.31

「『暑いときには暑いのがいい』」と夏を豊かに味わってすごしていこう」

 夏真っ盛りになっていますが、つらく、身にこたえる夏の暑さをしのぎ、乗り越えていくのに、どのような工夫をしていますか? 仏教は、どのように乗り越えることを教えてくださっているのでしょうか? 会長先生は次のようにご指導くださっています。

・夏の暑さの激しいときには、煩悩の熱を離れて涼(すず)しい悟りの味 わいを得たいと願うがよい」とは華厳経の一節ですが、そう願えば涼しくなるというよりも、心の持ち方一つで、たとえ同じ気温でも感じ方が変わることを教えているのだと思います。

 たとえば、暑さを忘れるほど何かに没頭するというのもその一つです。

 ちなみに、体温を下げるという意味では少食を心がけることが大切でしょう。

・ある教育者が、夏に「『暑い、暑い』と不平をいうのはやめよう」とおっしゃっていました。暑いと口にすることでますます暑さにとらわれることへの戒めであり、暑さを忘れる一つの方法だったように思います。

・夏が暑いのは当たり前のことです。それなのに、その暑さを嫌うことが自分を苦しめているということはないでしょうか。自然のはたらきを素直に受け入れられず、かえって暑さに縛られ、いっそうつらく感じるのです。

「いやだな」という気持ちを超えることができれば、そしてさらにもう一歩進めて、暑さに対する見方・考え方を広げてみれば、その感じ方がまた大きく変わってきます。

 先の教育者は、「この酷暑がお米をはじめたくさんの秋の実りを育ててくれる」といい、「暑い夏に感謝しよう」ともいわれました。

 いやだなと思うことに対して感謝する……それは、苦手なことや嫌いなものを受け入れ、味わうことです。この感謝の念(こころ)が、本会の会歌の一節「涼やかに生きる明るさ」や「涼しい悟りの味わい」につながる智慧ではないでしょうか。

 ・日本に昔から伝わる打ち水の習慣や緑陰(りょくいん)に憩(いこ)うといった生活の知恵を生かし、簡素な暮らしを大切にしながら、「暑いときには暑いのがいい」と夏を豊かに味わってすごしたいと思います。

 奈良教会では、明るく・優しく・温かい人間を目指して、一見不都合な目の前の人やできごとを「×」とみて不平を言うのではなく、真っ白で見て、受け容れ、そのなかに、有難いこと・「○」を見いだし、悦びを相手に伝える、そしてそういう努力をする仲間を増やしていくことに取り組んでいます。

 今月はその学びの実践として、暑い夏を「×」にせず、そのまま受け入れ、夏の暑さのなかに有難いことを見いだし、悦びを味わって豊かにすごしていきましょう。