「すべての存在はありのままですばらしいと、ほめ称(たた)える人間になろう」
今月の会長法話のテーマは、「ほめ称(たた)える」です。
いろいろなご縁を通して、自分も人もともに成長できたらいいですよね。一体どうしたら、そのようになれるのでしょうか? 会長先生は、次のようにおっしゃっています。
・ある集まりで、親が子の個性を把握し、その良いところをほめていくと、子どもの美質がどんどん伸びていくというお話をさせていただきました。
・利益を追求するビジネス社会でも、社員同士が年齢や肩書に関係なく、良いところをお互いに称(たた)えあう「ほめる文化」の醸成(じょうせい)が、組織の成長につながる重要なテーマであるといわれています。人から認められ、肯定されてこそ、人は前向きになれ、より持ち味が発揮できるのでしょう。
・人をほめ称えることは、仏さまの心にも適(かな)う実践といえます。
「妙法蓮華経」という経典の名称を見ても、そのことは明らかです。「この世は美しい蓮の華が咲き匂(にお)うすばらしい世界で、私たちはそれほど妙(たえ)なる世界に生かされている」ということが、ここに示されています。仏さまはこの現実世界をそう讃歎しておられ、もちろんそれは私たち一人ひとりが讃歎に値(あたい)することをも意味し、法華経が讃歎の教えといわれる所以もそこにあります。
・ただ、やみくもに人をほめると不信を生むことにもなります。相手に「成長してほしい」と願うのであれば、その人の良いところを的確につかむことが大切です。
では、どうすればいいのかといえば、「ここが良い」「あそこが悪い」といった、その人に対する相対評価からいったん離れること。まず、すべての存在はありのままですばらしいという見地に立ってみる。そのうえで相手に目を向けると、その人ならではの長所、いわば個性の核心が見えてくるはずです。それと同時に、合掌礼拝の心を忘れないこと。ほめ言葉を探す前に合掌礼拝の心と姿勢を忘れないことです。
・人はほめられるとつい有頂天になります。また、謗られると落ち込む人がいます。しかし、世の中には自分をほめる人と謗る人が半分ずついてちょうどいい、という考え方もあります。ほめられたときには、自戒し、謗られても「足を引っ張る人がいてくれるから成長できる」と感謝していると、心がどんどん豊かになるに違いありません。そうして人と人が讃歎しあい、磨きあうことで自他ともに成長していけるのです。
今月は、すべての存在、目の前の人や現象は、ありのままですばらしい、とほめ称える心ぐせを身につけましょう。
まほろば 奈良教会長コラム
平成25年6月度実践目標
2013.5.31