『出会う人も現象も仏心を引きだしてくださる観音さまと受けとれる自分になろう』
今月の会長法話のテーマは、「心に寄り添い、ともに歩む」です。
三月五日は七十五回目の立正佼成会創立記念日です。草創のころ、開祖さまが真剣に願われた「人を救い、世を立て直す」とは、一体どのようなことなのか、学ばせていただきたいと思います。
会長先生は、今月の御法話の中で次のように教えてくださっています。
・法華経に登場する観世音菩薩は、現実の社会で苦しむ者の声を聴きとり、さまざまな姿、形に身を変えて、救ってくださるといわれます。
ただ、一昨年の東日本大震災のようなことが発生したとき、私たちはなすすべもなく立ち竦(すく)んでしまいます。「実際に自分自身が味わったことのない困難をどう受けとめればいいのか」、「苦しむ人の心に寄り添い、ともに歩むとはどういうことか」を考えさせられました。あの日以来、多くの人が「自分に何ができるのか」と、慈悲の実践ということについて思いをめぐらしてきたのではないでしょうか。
苦しんでいる人たちのことを忘れることなく思いやり、苦悩が少しでも和(やわ)らぐようにと心から願うことが、それらの人に寄り添うこと、慈悲の実践をすることといえそうです。
・見方を変えると、そうした行ないは「生かされていることへの恩返し」ともいえるのです。生きとし生けるものはみな、あらゆるものからの恩恵を受けて生かされています。人さまを思いやり、自分の持てるものを与えることは、大いなる恩恵に対するささやかなご恩返しといえるのではないでしょうか。人さまに何かしてあげようと思うと、私たちはつい気負うことがあります。ご恩返しであれば、ただ、させていただくだけでいいのです。
私たちにできることは小さなことかもしれません。「人を救い、世を建て直す」という本会の創立精神に照らしても、会員綱領に「家庭・社会・国家…」とあるように、私たちの日々の思いやりが、社会にぬくもりの輪を広げる起点となっていきます。
・そして、そのような心が働くのは、慈悲の心を起こさしめてくださる観音さまがいらっしゃるからです。その観音さまに慈悲と智慧を学ばせていただくことが、「ともに歩む」ということだと思います。
さまざまな姿や形をみせて、仏心を引き出してくださり、大切なことを教えて下さる有り難い観音さま。それは、実は、家族や友人、出会う人や現象なんだと教えてくださいます。今月は、この救われの世界・ものの見方を、自分も人も、ともに味わい、身につけられるよう、しっかり精進させていただきましょう。
まほろば 奈良教会長コラム
3月度実践目標
2013.3.11